◎お巡りさん、すみませんでした
日曜日に
papaは、どうしても
仕事の書類を終わらせないといけなくて
夜中の時間だけでは、終わりそうに無いので
昼間に、ta-sanの様子を見ながら
机に向かっていました
ta-sanは機嫌よく
バランスボールに励んだり
C.Dを聞きながら
歌を歌って、楽しそうにしていました
papaは、ta-sanにココアを入れて
2人で、おやつタイム
ta-san、何時に無く、とても落ち着いています
papaも、めちゃくちゃ良い気分でした
この頃、ta-san
凄く良い感じで、落ち着いているし
主張もキチンとするし
papaも安心して
だいぶ、気が緩んでいます
ta-sanは
おやつの後
また、バランスボールと歌を主張し
すこぶる、機嫌よく、励んでいました!
この時
papaは、先程よりも
さらに、仕事に集中していたと思います
そして
C.Dの音で
他の些細な音はわかりませんでした
ふと、ta-sanの歌が止み
papaの後ろを、ta-sanが
ス〜と、通ったのがわかりました
papaは、トイレだな!と思いました
少しの時間が経ち
papaは
次の瞬間、「は」っと思い
顔が青ざめ、まさかと思いながら
トイレに駆け寄ると、ta-san
......................いません‼︎
以前の、ta-sanは確かに
訳もわからず、家を脱走することが
ありました!
しかし、今は違います
黙って玄関を出ることは
ありません!
でも
いないんです
毎週、信号機や横断歩道の練習はしています
車にひかれる事は無いと思いますが
それでも、未だ分かって無い交通ルール
1人では、とても道路には出せませんし
何が起こるかわかりません
死も
頭をよぎります
すぐに、家の周りを見ましたが
いません
何時も、玄関にある
チョコンと置いてある
可愛い、ta-sanの
靴が
.........................無いのです!
半ばパニックになりながら
papaは、泣きながら
警察署に電話しました
コミニケーションができない事
交通ルールがわからない事
パトカー、お巡りさんを見るとパニックになる事
それを説明したら
お巡りさんは、すぐに動いてくれました
papaも、いつものお散歩コースを
全開で走りながら探しました
山の中も、グルグルと探しました
心当たりの場所を
探しても、探しても、いません
クタクタで
もう、歩く事も儘ならず
重度の悲しみにも似た
悲痛の叫びを、心に抱き
後悔の念が絶え間なく、襲ってきます
その度に、涙が溢れ
溢れる涙と共に、沢山の思いも溢れ出ました
仕事なんかするんじゃ無かった
トイレに付いて行けば良かった
もう、随分の時が経ち
今は半ば忘れ、使ってもいない
ta-sanを監禁する為の第2の鍵
ta-sanもpapaも
この鍵は嫌だと思っています
仕事の都合で
papaの都合で
これを使えば良かったのか!
後悔と悲しみの中
取り敢えず、家路を急ぎ帰ると
縁側に
お巡りさんと、ta-san
ああ、良かった
......................「生きていた」
ただ、ただ
とにかく、良かった!
papaも縁側に座り
ta-sanを、そっと抱きしめた
papaは
座ったまま、お巡りさんに
ありがとう、ありがとう、ありがとう!
腰が抜けて、すぐには立てませんでした
お巡りさんは
そんなpapaに、言ってくれました
「いつでも、電話してください」
あの時も、そう言ってくれた、お巡りさん
本当に、何度も
ありがとう、ございます
そして
涙目で
..............「本当に、すみませんでした」と
謝りました
お巡りさんに
ta-sanは何処にいましたかと聞くと
「物置きの後ろにいました」と
教えてくれました
じゃ〜
家に居たんだ!
怪我をする事も、死ぬ事も
行方不明になる事も
初めから、無かったんだね!
本当に、良かった
当の本人、ta-sanは
パニックなどにはならず
深妙な顔付きで、項垂れていて
如何にも、「まずい事したな〜」みたいな
趣を、醸し出していて!
チョット、笑えました
本当なら、叱る場面なのでしょうが
papaは、ta-sanに
「何処にも行かず、偉かったね」と
言い、抱きしめました
それが、大事だと思いました
事が済み
家の中に入ると
ta-sanが、何やら訴えています
それを、聞きながら見ると
障子に
................................「穴」
ああ
ta-san凄く、成長したんだな
凄いな!
「マズイ、穴開けた、悪い事した」って
ちゃんと、分かったんだね
なるほど!
だから、隠れたのか!
凄い、凄いな、ta-sanって
papa
..........................嬉しいです
この後、ta-sanと2人で
紙と、糊で
障子の、穴ふさぎ
わざとじゃ無いんだから
壊れたら、直せば良いんだよって
教えました!
ta-san、怒られずに直った障子を摩り
ニッコリっと、御満悦!
凄い成長
言い方が悪いけど
強度行動障害、重度知的障害、自閉症
二次障害迄もが酷かった、ta-san
人を避け、生活をして来た二人
ガラスを叩き割り
食事は、テーブルごと、朝昼晩と倒され
床にいつも散乱
テレビも、ストーブも、何もかもが、倒され
排泄物も散乱
時には、お互い
傷だらけ、血だらけ
家の中で靴を履く生活
睡眠不足の中
papaも気が触れて
カレーも、味噌汁も、笑いながら、ぶち撒け
カンズメの缶で折られた歯が
何日も、ギリギリと痛くて痛くて
ロキソニンやら、何やら、飲みまくり
良い気分!
いつも、いつも
人を避け
ゴキブリみたいに、ゴミ屋敷に籠って
雨戸を閉める
夜の公園、夜の散歩
いつも、いつも、夜
誰もいない、人がいない場所を探す
そして、やっと二人で遊ぶ
そこに
人が来れば
ta-sanに嘘を言い、なだめ
時には、強引に
申し訳無さそうに、その場を後に去る二人
いつも、いつも
障害仲間であっても、人であれば
逃げ、隠れ、避けた
そして、裏の路地ばかり歩いて帰った
.....................「強度行動障害」
そう、するしかなかった
あの時
他に、方法が無かった
もうすぐ、ta-sanの冬休みが始まる
あれから、4回目の冬休み
休みの日
ta-sanに、手伝ってもらおう
冷蔵庫の鍵も
棚の鍵も
そして
玄関の第2の鍵
忌々しい、この、玄関の鍵
過去の貧弱な心で
泣いて、泣いて、悶え苦しんだ日々、二人
トラウマと共に
外し
..........................「捨てます」
お巡りさん
ta-sanのトイレの時は
ちゃんとついて行きます
本当に、すみませんでした🙇🏻♂️